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害虫

シロアリ

 

翅蟻が出たときの、シロアリとクロアリの両者を区別する方法を紹介します。羽がない場合は、触覚を見ます。シロアリは数珠状になっていて、クロアリは「く」の字状(雄の場合は「く」の字状でない種類もいます)になっています。もう1つは、腹部を見ます。シロアリは胸部と腹部が同じ幅でくびれることはありません。クロアリは腹部の基部がくびれています。羽のない場合は、触覚と腹部で見分けられると思います。次に、羽のある場合は、羽を見ます。シロアリは前翅と後翅(2枚ずつ)はほぼ同形同大です。クロアリは前翅が後翅より大きくなっていますので、見分けられるかと思います。
シロアリはクロアリの仲間ではなく、ゴキブリに近縁の昆虫です。
世界には約2900種のシロアリがいて、日本には約22種のシロアリがいます。その中で、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリを紹介します。(2009年4月)

ヤマトシロアリ

北海道の北部を除く日本全土に分布しています。乾燥に弱く、水を運ぶ能力がないので常に湿った木材中で生活し、蟻道を加工して地中やコンクリートの表面などを移動します。固定した巣はありません。進入すると、土台、柱、床束、大引、根太、床板などの建物の下部材を主に加害します。多少とも湿った部分を加害し、特に水を使用する風呂場、台所、便所、洗面所などが加害を受けやすい。西日本での加害は4月~7月と9月~10月に激しく、特に木材の湿る梅雨の時期は加害が激しくなります。4月の下旬から5月の始めにかけての日中で、特に雨後の温暖な日の午前中に黒い羽蟻が、風呂場、台所、トイレ、洗面所によく見かけられます。5対5の比率で雄、雌共に出てきて5~10分で羽を落としもぐりこんでいきます。なので、出かけていて帰って来た時には羽だけがたくさん落ちています。この時は黒い色をしているが、働きアリや兵アリ等は白い色をしているためシロアリと呼ばれます。1コロニーの個体数は通常1~2万匹で、3万匹を越すことはあまりありません。有翅虫は黒褐色で、前胸背板だけが黄色です。

イエシロアリ

千葉県から西の海岸線に沿った温暖な地域と南西諸島や小笠原諸島に分布しています。世界のシロアリの中でも最も加害の激しい種類です。建築物や切り株、樹幹などの地下や地上に塊状巣をつくり、そこから蟻道を延ばして周辺の建築物や木材を加害します。蟻道を通して水を運ぶ能力があるため、乾燥した小屋組のような場所でも湿らしながら加害するので、加害範囲は建物全体に及びます。漏水、結露など水場があれば、地下とは関係なく営巣でき、鉄筋コンクリートでも被害が出ています。コロニーは100万匹を超えることがあり、巣から100mまで分巣を経由し、蟻道を延ばしたという記録があります。5月中旬頃から7月頃の梅雨時期、蒸し暑い夕方から夜に翅蟻が飛びます。走光性があり、光に寄ってきます。巣や食害部、蟻道などが壊されると、兵蟻が集まり危険を感じると額から乳白色の粘液を出します。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカを原産地とする乾材害虫で、日本へは家具などとともに持ち込まれて屋内の乾材へと拡がり、家を建て直すほどの被害も与えています。加害部が巣となり、巣や蟻道はなく、乾材や乾燥した枯枝の中に小集団で生活しています。被害材の表面に直径3~4mmの丸い穴があり、そこから乾燥した砂粒状の糞を出します。翅蟻は3月~11月の日中に小規模で数回飛び、灯火には集まりません。

参考・引用文献
社団法人 日本しろあり対策協会
しろあり及び腐朽防除施工の基礎知識
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